紅茶による新型コロナウイルスの感染力抑制効果について 紅茶による新型コロナウイルスの感染力抑制効果について

10秒で紅茶が新型コロナウイルスの感染力価(※1)を減少

お茶に含まれるポリフェノールには抗ウイルス効果があることで知られていますが、
新型コロナウイルスに対する抗ウイルス活性を裏付けるデータはわずかしかありませんでした。
今回、大阪大学・大阪府立大学・三井農林の研究により、「市販の紅茶ティーバッグ抽出液」や「粉末紅茶溶液」、
「粉末緑茶溶液」が新型コロナウイルスの感染力価を下げることを発見しました。

「紅茶ティーバッグ抽出液」は10秒間でウイルスの感染力価が10万分の1に減少 (※2)(下図④)

■試験内容 (※3)
①20種類の「茶ポリフェノール」溶液、②粉末緑茶溶液、③粉末紅茶溶液、④紅茶のティーバッグ抽出液を準備し、
それぞれを新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)と一定時間培養することで、抗ウイルス活性をスクリーニング評価したところ、
②粉末緑茶溶液、③粉末紅茶溶液、④紅茶ティーバッグ抽出液で有意に新型コロナウイルスの感染力価が減少した。

次に、②、③、④を新型コロナウイルスとの培養時間を変えて評価した結果、
②粉末緑茶溶液は、感染力価が5 log TCID50/mLまで減少(※4)するのに10分間の培養が必要だった。
③粉末紅茶溶液は10秒で感染力価を5 log TCID50/mLまで減少した。
④紅茶ティーバッグ抽出液は、10秒で感染力価を5 log TCID50/mLまで減少した。


※ m=分、s=秒
(※1)「感染力価」=細胞に感染するウィルス数の指標
(※2)緑茶、紅茶を飲むことで口腔内の感染力を持ったウイルスが低減する可能性については、
   他グループによる研究報告(1)Molecules 2021, 26, 3572、2)Pathogens 2021, 10, 721)でも示唆されてます
(※3)本資料は、論文「Letters in Applied Microbiology (https://sfamjournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1111/lam.13591)」
   の内容をもとに作成しています(グラフは同論文の結果から一部抜粋)
(※4)「5 log TCID50/mLまで減少」とは、感染力を持ったウイルスの数が10万分の1まで低減したことを意味します